■山行計画
*前日、栃木の大平山あたりを歩こうかと計画していたら、NHKのTV「ブラタモリ」で宇都宮。そうだ4月の大谷石採掘場を見学した際、大谷の奇岩群と大谷近くの山、そしてその時見落とした大谷寺漢音像を思い出し歩くことを計画した。
*昭文社「山と高原地図」には掲載されていないが、手元にあった昭文社「エアリアガイド東京周辺日帰りハイキング」から古賀志山の存在を知った。
*そこで紹介されている古賀志山「滝コース」への起点「古賀志山入口」へのバスが無くなっていた。しかたなく宇都宮~新鹿沼間の路線で田野町の「森林公園入口」から歩くことで計画。乗客が少ない路線はどんどん廃止したり、過疎地域ではコミュニテイーバスに代わっているようだ。
■田野から赤川ダムへ
*田野の町から赤川ダム方面への細野街道で、古賀志山の岩峰を正面に見ながらの里山の田園の中。土手には彼岸花の刈入れ中の稲畑、ソバ畑など気持ちのよいハイキング道であった
*国の重要文化財指定『小野口家住宅』の広い緑の前広場が目にとまった。江戸時代から代々地域の名主をつとめた豪農の住宅で、母屋を囲む長屋門や石蔵など大谷石造り6棟が指定を受けており、時代とともに改修を続け現在も居住されており、庭や建物の中には入れなかった。
*赤川ダム近くにくると『ジャパンカップサイクルロードレース』の看板あり。これはアジア最高位の自転車ロードレースで、今年も日本での自転車レースの聖地・宇都宮で10月19日(金)~21日(日)に開催され、全21チーム120人を超える選手が出場予定とのこと。20日は「2018ジャパンカップクリテリウム」が宇都宮市大通り周回コースを会場でひらかれ、21日に本番「2018ジャパンカップサイクルロードレース」がこの周辺一帯に設定されている宇都宮市森林公園周回コースで開催されるようだ。コースは赤川ダムをスタートし森林公園内の古賀志林道を古賀志山中腹まで上り、ゴルフ場の中とか周辺も町をめぐる一周10.3㎞を14周するレースのようだ。
■赤川ダムから「南コース」を御岳山・古賀志山分岐へ
* 赤川ダムまわりを中心に古賀志山一帯は『宇都宮市森林公園』となっている。赤川ダム周囲には管理事務所や宿泊もできるサイクリングターミナル、バーべキュー場、キャンプ場も整備されいた。この日は3連休の中日で、古賀志山ハイキング・親子連れのサイクリング・バーべキュー・釣りなど楽しむ大勢の家族連れやグループだった。どこの市町村もこのような「市民の森」が整備されているが、こんなに大勢の市民が楽しんでいるのは初めてみた。
* 赤川ダムからは湖面に映る「逆古賀志山」、そして逆方向には刈入れ前の稲畑と多気山の眺めもよかった。
■急坂階段を稜線そして御岳山へ
* 稜線へ標高差約170mを俯角17°の急斜面に延々と続く丸太の階段、よく整備されている。
* 後ろから登ってきた独り歩きの女性ハイカーに出会う。ここからの道を懇切に教えてくれて、地図に無い分岐道に別れる際、”よくこの辺を歩かれているのですか?”の問に、”週に2日はこの山域のあっちこっち歩いている。今日はここから.....”と、地元の方々に親しまれている地元の山域だと思った。
* 稜線に出て古賀志山とは逆方向にすぐ近くの御岳<オンタケ>山へ。前日の事前情報では神社のすぐ近くが御岳山山頂なので、近くのピークに上るが、標識類は何も無くその先にも下るだけの道でピークらしきもの見当たらず。ここから引き返したが、帰ってからブログで山行記録情報など調べると、山頂はあと5分程の距離で鉄ハシゴから狭い岩峰のピークに上るようだ。残念でした!
* この日下山した赤川ダムの駐車場で地元警察署の方からの情報で、この日の朝、ここ御岳山頂の岩峰にハシゴを上った登山者が墜落したようだ。自分でなくて良かった、無理せずに慎重に歩かなきゃ!
■御岳山から稜線を古賀志山山頂へ
* 御岳山からロープ場もある岩・岩・岩の稜線を古賀志山山頂へ
* 山頂は20人ほどのハイカーで丁度昼食時。みんなに合わせ、珍しく座って食事をとった。
■古賀志山から東陵見晴台に立ち寄り「北コース」を赤川ダムへ下山
* 見晴台は「東陵コース」を上ってくるとロープ場の岩峰のピークだが、ここから引き返し「北コース」へ。あいにくのくもり空で、遠くの山々の眺めはよくなかった。
* 富士見峠までは標高差60m程で岩ゴツゴツの俯角18°の急斜面、苦手の下り坂をユックリユックリ下る。
* 富士見峠から水場の沢へ歩きにくい石ゴロゴロのみち、ここも標高差180mほどをユックリユックリ。
* 沢に出会うと高低差のある岩の間を渡渉。歩きなれた犬連れのハイカーとワンちゃんは慎重にピョンピョンと渡っていくが、後からきた女性グループ2人は相談しそこから別ルートへ。このあたりをよく歩いていて、ルートを精通しているようだ。
* ダム湖周囲のバーベキュー場では大勢の家族グループ。楽しそうだ。
■赤川ダムから多気不動尊を経由して大谷石の「大谷」へ
* 「多気不動尊」は北関東三十六不動尊霊場第十八番札所の表札、多くの参拝者がいた。
* ここから不動尊裏山の多気山<377m>にも上る予定だったが、計画変更し中止。
* 大谷の奇岩峰がある地区に入ると、フランク・ロイド・ライト設計の旧帝国ホテル玄関にあった大谷石でのモニュメント・壺を加工技術継承に習作したものが造られていた。本物は名古屋の明治村に移築されている。 ハワイでデイベロッパーとして仕事していた時に、マウイ島に造ったゴルフ場のクラブハウスにフランク・ロイド・ライト設計で建設されなかった住宅(アーサーミラーとマリリンモンロー宅)デザインを購入し建設したプロジェクトに関与していたことを思い出した。
* 建材としての大谷石とその採掘に関し、4月の採掘場見学に加え前日のNHK TV「ブラタモリ」は大変興味深く知見が広がったが、何度みてもあっちこっちにある奇岩の岩峰群の光景は楽しい。
■大谷寺「大谷観音」
「18-0412大谷石採掘場」見学の際、事前情報不足で見過ごした大谷寺の観音堂、そして観音像を今回拝観できた。
観音堂は大谷石岩の洞窟壁面に彫られた高さ4mの本尊・千手観音像と脇堂壁面に彫られた10躯の石仏を拝めるように、三方囲う形で建造されている。
内部は撮影禁止となっているので、石仏の写真は拝観者へのパンフレットおよびブログから流用した。
先日、大分国東半島でみた石仏「熊野摩崖仏」と比べると、石が気泡を多く含み彫りやすい大谷石なのか精巧な千手漢音像で感動した。
再度、大谷にきて良かった。
隣接する宝物館には、観音堂の防災工事中に堂下150cm程の地下から出土した約11,000年前の縄文時代の人骨が展示されていて、「大谷寺洞窟遺跡」と命名されているとのこと。